INTERVIEW

10月29日に映画館・シネマート新宿にて行われるLUMiのデビューイベント「神楽祭2017」。
LUMiの世界観を体現した、人気音楽クリエイターの楽曲によるCG映像コンサート&リアルライブが開催されます。

どんな楽曲が出揃うのかも気になるところですが、このイベントは、動くLUMiのお披露目でもあります。2Dの世界を飛び出して、LUMiが歌い、動き回ります。

LUMiに動きという新しい命を吹き込む指揮をとる映像ディレクターの近藤監督に、LUMiに動きを取り入れる際のポイントや意識した点を伺いました。



ーーLUMiのイメージを固めていくために意識したことや、行ったことを教えてください。

近藤 大介(以下、近藤)

LUMiの設定には「ベニクラゲ」(若返るクラゲ。不老不死のクラゲと呼ばれることもある)と「鎌倉」というキーワードがあるんですが、逆に言うとそれしかないんですよね。

ですから、どこをとっかかりにしようかなというのがありました。鍵を探りに鎌倉に行ってみたんですよ。
夕焼けを素材として撮りたくて、カメラも持って行ったんですけど、ぼんやりできていい時間だなと思っていたら、うっかり長い時間いてしまったんですよね。
さくっと帰ってくるはずが八幡さんにお参りにも行って、21時過ぎまで向こうにいちゃいました。

実は、当初は実写案もあったんですよ。海に行って撮影しよう、みたいな。

そこで空気感みたいなものは感じてきたものの、LUMiの共感性の高さは難しいと思います。目の前にあるものとか、目の前の人によって、LUMiが変わるんです。
LUMiも生まれたばかりだから、LUMi像という確固たるものをつくるっていうのは無理なんじゃないかと思い、日々変化するものとしちゃったんです。

すると、今回もそれが全体のテーマになったんですよね。
結局LUMiは何でつくられてるかっていうと、それは人間もそうなんですけど、LUMiが出会ったものによって形成されていくんですよね。

ーーいままで2DだったLUMiを3Dにする際に、どういった点に注意しましたか?

近藤

透明感や神聖な感じは大切に思っています。また、年齢的なものもあるんですけど、ちょっと中性的なイメージも意識しています。

あとは、目線ですね。

実際の目線はどこを見ている目線なんだろうというのがあって、そこはストーリーのなかで目線は変わってくるんですけど、近くのひとりを見ている目なのか、(デフォルトの目が)もうちょっと広い視点なのかっていうのは、もちろんLUMiが置かれた状況によって変わるんですけど、目の前のひとりというよりは、全体を見ている目線にしようという話は出ています。

ーー3Dにするに際に、AVA側からの要望やキーワードはありましたか?

近藤

まさしく「目線」はAVAの吉澤さんからいただいたものですね。
これは3Dに限らず、2Dの時もそうなんですけど。LUMiはいろんな人の話を聞くから、どこを見ているのかっていうのは、最初の打ち合わせ時から話をしていました。

「巫女やカウンセラー、仏像などの目線には、幽玄のニュアンスがある」と。

誰かが明言したわけではありませんが、従来のキャラに求められる目線とはちょっと違うかもしれません。

ーー3Dになって、LUMiの印象で変わったところはありますか?

近藤

今回、瑚々さんという中学1年生の方にモーションキャプチャをやってもらっているんですけど、モーションを撮られた経験がない方でした。

初めてだからこそ、動きにその人の肉体感というのはすごく出てきます。こなれている人は、このキャラはこういう風にやってくださいっていうと、なんとなく作れるんですけど、今回の動きに関してはもう瑚々さんでしかなかったですよ。

でも瑚々さん自体がLUMiと全然違うかって言うとそうではなく、そもそもそれがLUMiなんじゃないかってところなんですよね。

瑚々さんに決めたポイントは“初々しさ”が大きいです。染まっていない感じを求めていった感じではありますね。

今回「LUMiはこう、というルールを決めない」ということを決めた時に、このプロジェクトがまるでドキュメンタリーになっちゃったんです。だから、LUMiを追うってことをやっていく時に、はっきり動きが定着している人にモーションキャプチャをお願いしたら、LUMiはもう追えなくなっちゃうんじゃないかと。

ーー今回つくっているPVの見どころを教えてください。

近藤

一曲ごとに絞らず、全体の流れでLUMiを感じてほしいというのはあります。

それぞれの曲は独立していて楽しめるものになっていると思いますが、全体の流れも注目して見てもらいたいです。
曲ごとに作り方も違って、特にうち2曲はライブ感が強く、瑚々さんのキャプチャを使用して映像をつくっているものなので、ライブ会場で見るからこそいいというものになると思います。

あとは、今回の映像はアニメ監督とつくっているんですけど、その人の生み出すディテールの美しさも見どころです。

ーー様々な分野のクリエイターによって、日々姿形を変えていくLUMiですが、近藤さんが、これからのLUMiに期待することを教えてください。

近藤

LUMiの存在がどんどん広がって、いろんな人に楽しんでもらえたら良いなって思っているんですけど、そういう意味もあってキャラ付けをしたくなかったんです。
いろんな人が触れる余白があって、いろんな人によって変わっていって。そうなるとどんどんLUMi自身の世界も広がっていくだろうし、そのあたりは親心な感じになりますが、LUMi本人が楽しんでいるキャラクターになればいいなと思います。

人もキャラクターも、親がどうこうするでもなく周りの環境によって育っていくものだと思うので、それに対してスタッフがどれだけフットワークを軽くできるかが大切ですよね。
固定概念みたいなもので決めつけないで、うまく盛り上げて、ユーザーが楽しく使えるようにしたいですね。

LUMiデビューイベント「神楽祭2017」

イベント詳細

<日時>
 2017年10月29日(日)開場12:15 開演12:30

<会場>
 シネマート新宿(東京都新宿区新宿3丁目13-3 新宿文化ビル6F SCREEN1)

<チケット料金>
 前売り800円 当日1,000円 ※税込価格

<前売りチケット販売>
 プレイガイド「e+(イープラス)」にて前売りチケット販売中。
 http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002238637P0050001P006001P0030001

<当日チケット販売>
 当日チケットは残席がある場合のみ、会場にて販売いたします。

INTERVIEW / TEXT BY AYUMI YAGI

近藤大介映像ディレクター

1977年 山梨県生まれ。東北大学理学部化学学科卒業。在学中より、映像とデザインの事務所の立ち上げに 参加し、 CM、MV、TV番組等、映像制作を始める。2000年卒業と同時に上京。広告企画会社でプランニングをする傍ら、ファッションショーの演出家若槻善雄氏と組み、KEITA MARUYAMA、FRAPBOIS などの ファッションブランドのイメージビデオを演出。ミュージックビデオ、TV番組、TVドラマ、広告の企画原案演出も行う。2005年映像の共同事務所テトラボを立ち上げる。2013年、株式会社バードシード設立。日本タイポグラフィー年間ベストワーク賞、文化庁メディア芸術祭入選など。